乙武洋匡さんのお母さんのお話です。乙武さんは、産まれた時から四肢障害でした。手と両腕と両足がなく肩から指が出ていて太ももの付け根から足の指が出ていました。初めての子供でしたので、病院の先生はお母さんと乙武さんを合わせなかったそうです。なぜならば、出産直後のホルモンバランスの悪い母体、そんなお母さんの状態で乙武さんに合わせることは、これまでの経験上、気が触れる可能性があるからでした。ですから、今は保育器に息子さんは入ってらっしゃいます。命に別状はありません。数日経ったら、必ず大丈夫になるので安心して下さいねと、嘘を言って会わせなかったそうです。そして数日経って、お母さんのホルモンバランスも少し整ってきて、しかも何日も会わないと、逆にそれが不安になる可能性があるので、いよいよ対面すると言うことを決めます。それでも、もしかしたら会った瞬間に気を失う可能性があるから、万全の体制で対面したそうです。そしてその状態の乙武さんをみた時に、お母さんは何と言ったか?『なんて可愛い子なの!』『いい?あなたは何でもできるのよ!』この二言を、お母さんは大人になるまで毎日言い続けたそうです。なんて可愛いの!あなたは何でもできるのよ!乙武さんが小学校に上がって、同級生にイジメられます。それでもお母さんは、毎日、あなたは本当に可愛い!何でもできるのよって言い続けたそうです。乙武さんは、大人になってこう言います。僕は、手足がなくて不便なことはあったが、何不自由なく大人になった!僕は、自分が大好きなんだ!彼はものすごく自分が大好きなんです。だから自分が思ったことは、全部実現しています。本も書いた。講演会もやった。杉並小学校の教員もやった。議員にもなった。あまりにも自信に溢れていて、女にモテすぎて、全ての女性は俺を愛していると思って、いろいろ手をつけて議員はクビになった。障害を持って産まれた子というのは、セルフイメージがあまり上がらない傾向にあるそうです。でも彼は違いました。今は結婚して子供も産まれ、休みの日は子供とキャッチボールをします。彼は手がほとんど普通の人と違うので、スポーツ用品展に特殊なグローブを専用で作らせて、そして息子にボールとグローブを渡し、『よし!投げろ!でもな、父ちゃんは真ん中しか取れないから、真ん中に投げるんだぞ!すごいお前は天才だ!何でもできる!』って子供を育てています。私たち人間は、聞いた言葉で作られるんです。日々、人と関わる私たちの仕事にも通じる教示ともとれる気がしましたので皆さんと共有させていただきました。
アウル通信