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【嘘と本当】

2018年11月16日 | 未分類

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嘘と本当

また長いです。

認知症の状態にある方に対して、
「嘘をついてはいけない」ということについて

昔、僕がまだ介護の現場にいた時に、一人のお婆さんが、寝間着に腹巻き姿、ポシェットを斜めがけにして、夜中に部屋から、悪い片方に足を引きずりながら、出てくるんです。毎晩ではなかったと記憶してるけど、忘れました。

その時に、「どうしました?」と尋ねると、「決まってるじゃない!」と少し怒り気味に返事が帰ってきました。

僕が「えっ!」って顔をすると、「会社に行くの」と仕方なさそうに言うのです。

「これから会社ですか?」と驚くと、「そうなのよ」と、今にもため息が出そうな感じの返事が帰ってきました。

「あの〜会社って、なんの会社・・・」と少し語尾を濁しながら返すと、「バスに乗るのさ!私ガイドだから」と言うではありませんか。

びっくりした僕は、そんな情報もアセスメントもなくて、少々困ってしまいましたが、これはこの世界で話を続けるしかないと判断して、彼女の話に乗りました。

僕が「これからだと大変ですね。まだ夜中ですし・・・」と言うと、「仕方ないじゃない、仕事なんだから」と。

外は土砂降りの雨☂️

彼女は、「どうしよう」と一言。この雨に中、どうやって行ったらいいか、どうしようと困っているらしく、僕は、「そうだ!」と、忘れていたことを思い出したかのように、「そう言えば先ほど、会社からお電話がありまして・・・」と、恐る恐る彼女の世界に存在しながら言うと、「なんだってさ」と返ってきたので、しめしめと思いながら、「土砂崩れが発生して、バスの運行はお休みだと伝えて下さいって言われていたのを忘れていました。ごめんなさい」と言ってみると、「あんた!早く言いなさいよ!」と少し安心したかのように怒った言い方で、お部屋に戻って行きました。この主張は、その晩何度か続きましたが、継続して同じ対応をしました。

こんなことが何度か起きましたが、ある時は「ストライキ」のせいにしたり、本人が納得する理由を見つけては安心へと導きました。

これは嘘です。明らかに嘘なんです。でも、彼女の主観的世界では本当のことなのです。

でもですね、僕が言いたいのは、この嘘が、私たち介護する側にとって、安心したいから、困ったことに付き合わされたくないから、業務が忙しいから、人がいないくて大変だからという理由だとしたらどうでしょう。

そのことが前提の嘘だとしたら本末転倒だと僕は思います。

ですから、そういう嘘はいけないという意味で、嘘をつくことは良くないと言いましたし、今でもそれは変わりありません。

それを額面通り、鵜呑みにする人がいるようです。違いますよ。

彼女たちが、安心して暮らし続けることができるか、僕たちの安心安全ではなく、彼女たちが主体的に安心を感じられるようにすることだと思いますが、如何ですか?

この話の本質は、嘘をつくことの善し悪しや、本当のことをいう言うことの善し悪しではありません。

さらに掘り下げてゆくと、そのバスガイドのお婆さんの本当の不安を見極められるかにあります。

僕たちが目にしている、お婆さんの行動や振る舞いなどの言動は、ダミーでしかありません。

皆さんのホームで生活している方々の中にも「家に帰りたい」と言う方がいらっしゃると思います。確かに、そこは自分の住み慣れた自宅ではありませんから、真っ当な主張だと思います。ですから、僕は「帰宅願望」とか「帰宅欲求」などと、あたかも問題、症状かのような表現の仕方はしません。

それらは、ダミーなのです。

彼らは、自分の身体も含めた、今置かれている状況や状態、抱えている不安やストレス、あらゆる人間関係、その有する能力や元々の性格や性分によって、別な表現の仕方をするのです。

ですから、夜中に起き出してバスに乗らなければならないと主張する彼女は、自分自身又は周囲に起きている不適切な状態を示している探シグナルでしかないのです。

つまり問題の本質は、今、見えている事だけではなく、それを引き出している隠された誘引や要因があるということです。

バスガイドの彼女の場合は、不定期に起こる便秘でした。もちろん、便秘が解消されると、夜中のその言動も解消されます。人間って不思議ですね。この仕組みが理解できると、認知症によって起きるであろう心理的行動は、かなり改善され心地良く暮らすことができるでしょう。

そこに目と意識と行動と感情を向けることが、僕たちの本来の仕事の一つです。

そして、更に更に掘り下げます。

一番に盲目になりやすい視点があります。それは、自分自身の周囲への影響です。

自分は間違いない、正論である、スタッフはできてない、自分の感性や人格を無条件でちやほやされているような人は、尚更盲目になりがちです。

つまり、一番アセスメントして、ケアプランを立てなければならないのは、自分自身であることを自覚していることが、一番大事です。

ちなみに、そういう人に限って気づけません。ある意味神かもしれませんね(笑)

あなた、大丈夫ですか?

Naoto

09:04 | 記事 nao

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