昔々、お釈迦さまが言いました。
『「自分はより優れている」と比べないように。「自分はより劣っている」とか「自分は同じくらいだ」とも比べないようにするといい』(「径集」スツタニバータ第九一八偈)

 この文章の中には、優越感、劣等感、同等感という3つの感情が含まれています。他人と比べて「自分のほうができる」と比べて優越感を味わい、「自分のほうが劣ってる」と劣等感を覚え、「同じくらいだ」と同等感で安堵するのです。人間の脳みそは、いつも「上だ!」「下だ!」「同じだ!」と行ったり来たりで、本当に落ち着かない日々を送っているのです。
 この時季になりますと、インフルエンザの予防策としまして、お年寄りの生活の場の「湿度」が気になります。先日、何気にスタッフに湿度を尋ねましたところ、「40%くらいです」と返答。湿度が低い事に対する危機感が感じられなかった(勝手に)私は、そのことに納得できず、電話口で問い正す始末。
 その時の私の心の中を内観してみますと、「自分と比べてどうか」「自分だったらこうするのに」と、様々に比べて自分の正当性を主張し、相手を屈服させ優越感を抱きたいだけなのです。挙げ句の果てに、過去の自分と比べたりするんです。例えば「自分の時はこうしたとか」。引っ込みがつかなくなりますと、自分を守るためのもっともな言い訳や立場を利用した強引な意見が幅をきかせることになります。そのことを、見栄や虚栄や意地を張ると言います。その内容はもっともで、自分を守る事で必死ですから、その正当性、妥当性、真実性に富んでいます。相手は何も言えなくなってしまいますね。
 50を過ぎた私を内観する度に、嫌な老い方をしないようにと、今のうちに比べる癖や心を捨てる修行、降りる修行を日々行っているところです。
ご迷惑をお掛けしております周囲の皆様、どうかお許し下さいませ。
感謝

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