そもそも『認知症』とは何か?こう尋ねられたら、皆さんはどう答えるだろう。
 介護保険法第5条の2にはこう記されている。脳血管疾患、その他の要因に基づく疾患。複合した認知機能の障害をいう。これを引き起こす原因疾患が病名となっている。記憶機能および、その他の認知機能が低下した状態を示し、これまでできていたことが次第にできなくなってゆき、日常生活が困難になっていく状態をいう。
 つまり、認知機能をどうやって支えるか、応援するかが大切になると言える。認知機能やそのほかの身体機能が低下していくことを、どう見極めてささえるのか。その人が不適応な状態にならないように、生活を支援するのが本来のやることであり、さまざまな不自由に照ら合わせると、それぞれに異なった支援が必要となる。
 専門職の役割は「人の生活の営みの中で起こる変化」を知り、経験し、感じ、気づくこと。健全な生命活動の支援に繋げていくことと捉えるならば、「認知症の理解」と同様に、「人の営みの理解」も大切となる。つまり、知識と行いが一致してはじめて「認知症ケア」となる。このことが『認知症ケアの知行合一』と言える。
 認知症とは何かを理解しているだけでは駄目で、生活のどこに影響するのかを分析する力と、生活を応援する仕組みを確立させ、具体的な支援を届ける力が必要となる。
 身体的能力が衰えても、その人の能力に応じた「必然的な生活の仕掛け」を用意したり、備えたりすることで、生活を継続できる人もいる。そこの可能性を諦めないでほしい。そもそも認知症ケアとは、人が人として営む能力をどう支えるかなのだから。         
感謝

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