ある日の出来事でした
お昼時、宿泊先のホテルのロビーに 5人のお婆さんたちのグループを発見
毛糸の帽子とふっくらとしたコートに身をまとい
ロビーで一旦休憩していたらしく なにやら話しながら
「ほれっ!認知症になったら大変だよ!」とお互いに励ましあいながら
エレベーターに向かう
足取りは小刻み それはそれは亀の歩み
みんなが杖づかいのお婆さん それはそれはゆっくりと
多分 2階の中華のお店か5階の和食のお店に行って
みんなで女子会を開くのだろう
その後ろ姿に 僕は勇気をもらった
一番大事なのは 当たり前に人が願う暮らしができるかどうか
十人十色 それぞれに願う暮らしがある
そのために どうしたら良いかを考え支えることが 僕たちの仕事
その願いはささやかで儚い 普通に通り過ぎて行くこと
食べたいものが食べられる
飲みたいものが飲める
行きたい所に行ける
逢いたい人に逢える
言いたいことが言える
感情を自由に表現できる
それでも人と人とが集うと 思うように生きられないこともある
それでも心は満たされ 現実も満たされる
そのような関係を築けたらと願うばかり
お互いに認め合えるといい
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