先日、雪国のグループホームの暮し方について尋ねられたので、この場をお借りしてお答えいたします。(中央法規出版「りんくる」12月号に掲載)

私は北海道の人間なので、冬は寒いし、雪は半端じゃないくらい積もりますから、その自然の厳しさは体感しています。北海道の中でも積雪量を考えると地域差はありますが、根本的に寒さが厳しいには違いありません。しかし、その厳しさの中で長年培ってきた、四季に対する生活の仕方を工夫してきたのではないでしょうか。春が来て山々は芽が出て、春と夏の間で様々な生命が息吹き出し、夏を迎えます。沢山の太陽を浴びて、様々な光合成が起こります。その中で、生命は育まれます。夏と秋の間で、作物が育ち、稲は穂をつけて頭を垂れ始めます。秋を迎えて、生命は厳しい冬に備えて蓄えます。春から冬の雪が降る時季の間でしっかりと生命力(体力)をつけて厳しい冬を迎えるのです。生命は厳しい冬を、それぞれの過し方で乗り越えようとします。冬の期間の運動機能の低下に焦点を当てるのではなく、春から秋にかけての体力、生命力、生きる力を育んだり、維持したりすることに焦点をあててみては如何でしょうか。冬の間の運動機能が低下しないように何かをするにはやはり限界があるでしょう。例え冬の期間であっても外出の目的次第では、雪道だろうがなんだろうが歩くでしょう。その意欲をくすぐるような目的や関係作りが大切でしょう。また、外に出掛けるにも、何が何でも「みんな」で行かなくてはいけないという観念では、二の足を踏むでしょう。スタッフの見極めの力にも関係しますが、彼らの能力を知り見守ることができれば外出も個別に対応できるのではないでしょうか。しかし、外出には十分はリスクに対する配慮も大切です。私のホームでの出来事ですが、歩道が所々凍結している時期に買い物に出掛けた際、アイスバーンに足を滑らせ転倒してしまったケースがありました。彼らの能力だけではなく、周囲の環境にも気を配る力も必要です。冬は特にスタッフの見極め力の幅が求められるでしょう。雪国の冬は長いです。北海道の場合は約半年は冬の期間と言っても過言ではありません。その分、春、夏、秋という季節の生き方が貴重であり大切あることを実感させられます。

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