違和感
私の原動力は「違和感」でした。
暴言だ、暴力だ
帰宅願望だ、帰宅欲求だ
入浴拒否だ、〇〇拒否だ
弄便だ、不潔行為だ
問題だ、問題だと
そうやって、本人のせいにしてりゃぁ〜、自分は守られていましたからいいですよね。
基本そこが前提だから、全てはここのフィルターを通して彼らをみてきました。
そこに違和感を感じるようになったのが、グループホームに関わり出してからです。さらに、現場から少し距離を置くようになっていった時位から余計に感じるようになっていきました。
なんだかインチキ臭いなぁ〜って。
彼らが混乱してる時って、往々にして周囲の環境や自分自身の変化に適応できてない、順応できていない時だと、今は思えます。
本当は、その混乱も不適切な環境や急激な自分自身の変化に応じているだけなんですけど。
環境って言っても様々ですが、一番厄介な環境が「人」という環境です。
そうした場合は、とことん付き合ってきた経験があります。その時は直感ですね。お婆さんの部屋にお邪魔して、こもってとことん話を聴きます。
一番大事なことは、何を言いたいのか、何をわかって欲しいのかを探って、そこを「そうか、そうか」と、とことん顔を付き合わせて聴き居るんです。
一晩中でも、相手が根負けする位に覚悟して付き合う。
今までに、2人いらっしゃいました。
その後の信頼関係はバッチリです。
しかし、彼らの主観的世界、空間にどっぷり存在して、付き合ったことで、お互いに精神的に自分自身を追い詰めてしまった関係もありました。
それは、アウルを立ち上げ、外の仕事が多くなってきた時でした。中途半端にかかわっていた私は、それを理由に、結果的に逃げちゃったんですね。あれは逃げです。
そう言う方が、1人いらっしゃいました。
私を旦那にしちゃったお婆さんです。
以前は、いいところだけを切り取って面白おかしく、認知症の状態に繋げてお伝えしていましたが、話をしていると、それこそ違和感を感じるようになってきて、苦しくなってきたんです。
苦しくて、苦しくて、話ができなくなりました。
これは申し訳ないというか、その世界にどっぷり乗っかってしまって、どうしようもない状態にまで追い込んでしまった、私の傲慢さの現れです。
でも、今思うと、人間って凄いなぁ〜と思わせてくれたお婆さんでもありました。
お婆さん、私との繋がりと自分を守るのに、どうしたと思います?
子供を産んだんです。しかも、私の子供です。名前も「愛ちゃん」って名ずけて。
どう思います?
笑い事じゃないんですよ。
そうやって、自分を守ろうとするんです、人とか何かとかとの繋がりを繋げようとするんです、人間は。
それも彼女の応じ方です。みんながみんな、そうするわけではないと思います。
その時の僕もスタッフも、もうお手上げです。どうすることもできないくらい、精神的に彼女を追い詰めてしまった罪悪感で、自分を責めました。
その後、一旦病院へ入院することになって、そのまま退去して、元々いた特養に再度入居することができてたので、少しホッとしました。
ただ本当にありがたい事に、ご家族が、これまでのかかわりを理解していただいて、その都度相談させていただきながら進めていましたので、本当に感謝です。
その後、特養のスタッフがフォローしてくれて、特養で命を全うしました。感謝です。本当に、みなさんに感謝です。
特養に戻られたと聞き、見舞いに行きましたが、特養のスタッフと相談して面会は避けることにしました。その時、特養のスタッフに聞いた話ですが
スタッフが「ご主人はお元気ですか?」と尋ねたところ
彼女は「逃げられた(笑)」と笑っていたと・・・。
私たちの仕事は、一人でなんか出来っこなくて、思い上がっちゃいけないですね、本当にそう思えます。
あれから10年以上経って、ようやくここまで話せます。
『これまでを、これからが創る』
本当に心からそう思えます。
Kさんの魂に感謝です。
ありがとうございましたm(_ _)m
Naoto